ハスミワイン・ジャーナル : ハスミワイン HASUMI WINE

ハスミワイン・ジャーナル
[ハスミワイン・ジャーナル]

蔵元紀行 ロワール編
France Travel Story ーLa Loireー

 


― フランスの庭園 ―



Domaine Wilfrid Rousse @ Chinon

ドメーヌ・ヴィルフリー・ルース @シノン

フランス紀行

パリ シャルルドゴール空港から車を借りて、一路シノンへ。
パリから大西洋に向かうロワール川流域に、ロワールワインの産地は広がる。
広大な大地に点在し、隣のAOCの村に移動するにも130㎞離れているなんて当たり前の話だ。

シノンのヴィルフリー・ルースに着くと、入り口にはシンボルマークの風見鶏がお出迎え。
その昔、ロワール川を行き来する商船のミチシルベの役割を果たしていたという。

フランス紀行

この蔵元で生産するシノン(赤ワイン)は圧巻だ。カベルネ・フランの概念を覆す出来栄えだ。
圧倒的な果実味とまろやかさ、エレガンスと凝縮感を兼ね備えるワインを造り出す。
日本では、青くさいと言われるカベルネ・フランだが、そんな要素はまるで無い。
そもそも、カベルネ・フランは青臭いわけではないし。

 

フランス紀行

ロワールの一部の流域では、↑こうした採掘場の後をセラーにしている。
ひんやりとした自然の洞窟で壁は一面のフカフカとしたカビで覆われている。
温度と湿気が、一年中安定している天然貯蔵庫。樽や寝かしてあるボトルが静かに佇む。

 

フランス紀行

採石場を利用した天然のセラーは村の共有財産。
試飲カウンターもあり、最先端のワインバーなどと言って笑った。

 

フランス紀行

熱く語るヴィルフリー・ルース。
出会いはシャンタル・レスキュール(ニュイ・サン・ジョルジュの造り手)からの紹介。
一流は一流同士でつながっている・・・。

 

フランス紀行

100年を超える樹齢のブドウの樹を有し、完全有機栽培で葡萄造りをする。
ふくよかで華やか。果実味溢れる彼のシノンは、鶏のクリーム煮、鮮烈な山椒の薫る麻婆豆腐、
子羊に各種ジビエ・・・とグルメを唸らせる料理達にピタリと寄り添うのだ。

P.S.
マダムは、「羊たちの沈黙」のときのジョディー・フォスターばりにカッコイイですよ!ほんと



フランス紀行

古都トゥール。
中世の時代にはフランスの中心であり首都とされた時代もあった。
フランスの中心であったとは思えないくらい小さな街で中心街は歩いて回れる。
中世の家組がそのまま残る。

 

フランス紀行
Hotel Anjouの1階にあるレストラン サラマンドゥール。
サヴニエールの造り手にオススメだと言われた。
クラシックなホテルで、レストランもクラシック。

夜21時を過ぎても明るく、外をそぞろ歩く人達を眺めながらの食事はとても居心地が良い。
モダンでも超伝統的でもなく、普通のロワールのレストラン料理が健全にサービスされる素敵なレストランだ。

 

フランス紀行
ロワールに来たら、やはり、ホワイトアスパラガスでしょう。と、前菜に選ぶ。
酸味の効いたラヴィゴットソースだったか、スタンダードな仕立てだが爽やかな一皿だった。

 

フランス紀行
ロワールもナントに近くなると、ブルターニュ公国圏の影響を受け、クリームやバターを多くとる。
クリームの品質もバツグンだ。クリームを食べるために果物があると言ってもよいほど。
バターを食べるためにパンがいるのと同じですね。

フランスの庭園と呼ばれるロワールは、アスパラなどの野菜やイチゴなどの果物も素晴らしい。

 

フランス紀行
中世の家組。
小さな塔の様な部分は、何か意味があるのだが、残念ながら忘れてしまった。
ワインに関わると、歴史や宗教はもちろんだが、ワインの産地である各都市の建築や絵画にも特徴があり、特に建築は都市建築と教会建築が時代によって変換し、とても興味深い。

 

フランス紀行
要塞城 シノン城

 

フランス紀行
シノン城を積み上げている石はシストだ。
シノンの土壌もシスト。

 

フランス紀行
ナントから北上し、ヴァンヌへ。
もうブルターニュの文化圏だ。
中世の街に迷い込むよう・・・。

 

フランス紀行
ヴァンヌは海の近くにある小さな小さな街で、ヨーロッパからの観光客が多く訪れる。
この時は、日本人をはじめ、アジア系には誰とも会わなかった。
可愛らしい小さな街にブランドショップなどもある。

 

フランス紀行
ブルターニュの入り口だが、やはり魚介類でしょう!とフリュイドメールを頼む。
気軽にテラスで食事できる様なカフェレストランで、しっかりとしたタイプのミュスカデが何種類も置いてあるのはさすが。辛口のシードルもいいですね!

 

フランス紀行
街の屋台で売っていた、ホイルに包んで渡される程度のクイニーアマン。
バターの品質とジューシーさがあふれ出て、びっくりするほど美味しい。

 

フランス紀行
「シェルブールの雨傘」の舞台になった有名なナントにあるパッサージュ。
パッサージュの階段が木製。
歴史的にも建築的にも重要な建物で、観光名所でもあるが、市民は通勤に突っ切って歩いたりして、普通に行き来されている。
カトリーヌ・ド・ヌーヴの若かりし美しい歌声が聞こえてきてもおかしくない。



Château du COING  @ Muscadet
シャトー・デュ・コワン @ミュスカデ

フランス紀行
14世紀から続く名門貴族のコワン家。この地区の領主様です。
Sévre 川とMaine川の合流地点である、ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌAOCの起源の畑を所有する。
本当の意味で、セーヴル・エ・メーヌを名乗れる畑は、ここコワン家だけが所有しているのです。

 

フランス紀行
コワン家の畑にはシスト土壌が豊富に存在し、Sévre et Maine の広いAOCの中でシストが存在する畑はそうそう無いと語る。
AOC起源の畑を所有する誇りと、強い責任感。ミュスカデを熟成させ、旨み凝縮する。
長期熟成可能なハイポテンシャルなミュスカデを造る。

 

フランス紀行
美しいシャトー。
14世紀から続くシャトーで維持も大変だと語っていた。

 

フランス紀行
ここがまさに、Sévre 川とMaine川の合流地点。裏庭はマダムとムッシュのお散歩コース。

 

フランス紀行
敷地の中に点在する建物。
その昔は敷地から出なくてもパンからバターから賄えたくらい使用人や家畜がいたそう。

 

フランス紀行
樹齢100年の(*^O^*)ミュスカデの葡萄樹。

 

フランス紀行
歴史を感じさせるワイン造りに使う器具が、博物館でもないのに普通に置いてある。

 

フランス紀行
貴族の館らしく、厨房が地下にあり、今でも使用人達が暮らす。
ロワールらしい川魚の料理と、コワンの造るミュスカデのスパークリング、そして熟成したミュスカデ。
美味しいに決まってる!

 

フランス紀行
びっくりするくらい美味しい生クリームとイチゴ。
生クリームはブルターニュに近いことを実感できる。
イチゴはさすが、ロワールは野菜や果物が名産。

P.S.
数年前から、娘のオーロラさんがイタリアでの修行を終えて帰ってきた。
コワン家のミュスカデは益々キレとコクが増した印象。
ワインツーリズムなど、ワインと観光。さらにミュスカデの魅力の発信など、興味の尽きることはない。

 



フランス紀行
ナント市内にあるブルターニュ公国王の城。
その昔、ブルターニュ公国王はフランス王だった時代がある。
フランスの首都だったわけですね。



Domaine du Pré Semelé @ Sancerre
ドメーヌ・デュ・プレ・サンムレ @サンセール

フランス紀行
サンセールの素晴らしい区画の畑を有する。
その所有する誇りがドメーヌの名前に表れている。
当主のファミリーネームではなく、土地の名前をドメーヌに冠している。

 

フランス紀行
毎日毎日、どんな時にも日に何度も畑を回る。
小さくテロワールごと(50区画)に区切った独特のチェックリストを持ち、
まるで自分の子供たちの様に、葡萄のケアをする。

 

フランス紀行
完璧な石灰岩質土壌のサンセール キュヴェ・シャセーニュ。
石灰岩質土壌から造られるソーヴィニヨン・ブランの美しさと言ったらない。
エレガントで、気品あふれる味わい。シャセーニュの畑は、太陽の光をふんだんに受ける。
暖かい土壌から、コクのあるタイプのワインができる。

 

フランス紀行
ここは中央フランス。ワインの銘醸地ゆえ、ブドウ畑が一面に広がる。
起伏に富み、豊かで異なる個性のテロワールが存在する。

 

フランス紀行
爽やかで凛々しく、ハツラツとした青年。ニュージーランドで研鑽を積んだ。
兄弟でドメーヌを支える。



ロワール。

フランスの庭園と謳われ、古来よりフランス王や貴族に愛され、また、交通や貿易の要所だった事から文化が栄えた。
野菜や果物にとっても良い肥沃な大地が広がる一方で、ブドウ造りに最適な土壌も数多く点在する。
古代の隆起や断層による近地殻変動がなせる技なのだろう。

豊かなテロワールの違いがある中で、ブルゴーニュの様になかなか体系化されないのは、ロワール河に沿って広がる、あまりにも広すぎるエリアである事と、点在するAOCだからであろう。
豊かな自然、古より存在した文化とブルターニュ文化の影響、そこに点在する造り手や人々は、脈々と続く何千年にも及ぶヨーロッパ文化の中にいると実感する。

ロワール。
美しく永遠なる場所。

蓮見孝子

[2020 01/01]